開業を思い立ったきっかけは?

 今から7、8年前、勤務医をしながら自分のやりたい医療が思うようにできないと感じるようになりました。その思いが最も強くなったのは、直前に勤務していた病院で、多忙のあまり、外来の患者さんを十分に診察できなくなったと感じたときです。患者さんからも「なかなか予約がとれない」と言われ、経過観察が必要な患者さんを定期的に診ることができず、急に具合が悪くなった際にも他院にかかってもらわなければなりませんでした。このままでは、納得のいく医療を続けることができないという危機感を覚えました。
 そこから、開業支援を行っているコンサルタント数社と面談をした結果、最終的に日医リースに決めました。

開業の決め手は何だったのでしょうか?

 決め手は、日医リースが条件に合った物件を紹介してくれたことです。やはり開業には不安がありましたから、親身になって話を聞いてくれる担当者の存在は大きかったです。
 現在地を選んだのは、前の病院で診察してきた患者さんを責任を持って継続して診察するため、その患者さんたちが通院可能な範囲にこだわりました。ただし、前の病院の規定で、半径1㎞以内に開業してはいけないことになっていましたから、その条件に合う場所を探してもらいました。ここは住宅街で、若いファミリーも多く住んでいます。近くのイオンモールでも子どもをたくさん見かけますし、小児科を開院するのに良い立地だと思いました。

物件紹介のほか、日医リースがお役に立てたことは?

 医療機器等のリースや事業資金の融資など、開業には初期投資が必要ですので、開業前からさまざまなアドバイスをもらいました。また、電子機器や電子カルテなどの選定も手伝っていただきました。電子カルテは5社くらいのデモ体験をしたうえで、最終的に、複数の患者さんのカルテを同時に開ける製品に決めました。そういった、何か困りごとが起きたとき、すぐに相談できる存在がいることはとても頼もしいです。

前の病院で診ていた患者さんには、どのように開業の案内をされたのですか?

 診療所の名前と住所を載せた小さなカードを作り、定期的に通院している患者さん250名ほどに、最後の受診となるタイミングを見計らって手渡しました。
 開業当初は、その案内を見て受診された、顔なじみの患者さんが多かったのですが、いまは新しい患者さんが占める割合のほうが多くなっています。最近は、この近辺の方だけでなく、東村山市や清瀬市、小平市など、当初考えていた診療圏より遠方から来られる患者さんも増えています。

内装へのこだわりは?

 小児科の場合、実質的なターゲットはお母さんになりますから、若いお母さん世代が好む、すっきりしたイメージの内装にしました。子どもが長時間画面を見ることは好ましくないので、待合室には熱帯魚の水槽を置き、子どもが退屈しないように配慮しています。また、当院の名前の「さくらんぼ」は、さくらんぼのように親と子が寄り添い、医療者と患者さんが寄り添った関係を大切にしたいと、私が名づけました。私自身、さくらんぼが大好きということもあります(笑)。

スタート時のスタッフはどのようにして集めましたか?

 看護師と事務スタッフは、以前に一緒に仕事をしたことがあり、信頼できる人に声を掛けて協力してもらいました。また、事務スタッフの募集には、求人広告も活用しました。

開業から1年余り経ちましたが、これまでにご苦労されたことはありますか。

 経営面は開業時からずっと黒字続きで順調です。苦労といえば、医師が私1人なので、自分が体調を崩しても休めないということですね。体調のすぐれないときには、予約システムを調整して患者さんの受付人数を制限し、早めに帰るようにしています。

これから開業を考えている方へのアドバイス

 「勤務医をやりたくない」という理由で開業することはお勧めできません。開業すれば、スタッフの生活も考えなければなりませんし、面倒な事務手続きにも追われ、医療だけに専念できなくなります。それだけの責任や負担を負ってでもやりたい、具体的な医療像を自分のなかにもっていなければ、うまくいかないでしょう。
 現在、当院では特別な集患対策はしていません。目の前の患者さんに真摯に向き合い、正しいと思う医療を提供し、患者さんとコミュニケーションをしっかりとるといった、日々の診療を誠実に続けることが一番大切だと思っています。

Information

さくらんぼキッズクリニック
住所:〒203-0031 東京都東久留米市南町4-1-17リールヴィーヴル
WEB:https://sakuranbo-kids-cl.jp/