開業のきっかけは?

 これまで整形外科医として、急性期病院の手術治療を中心に従事していました。とてもやりがいのある仕事でしたが、運ばれてくる患者さんのなかには、もっと早く受診できていれば手術を回避できたかもしれない方も少なくありませんでした。病院ではそうした予防・早期治療の部分にアプローチすることがなかなかできなかったのです。
 また、術後の通院に関しても、病院では頻回にフォローすることは難しかったので、地域でより患者さんと密になった治療方針に魅力を感じて、開業をしようと決めました。

現在地を選ばれた理由は何ですか?

 もともと市街地よりも、郊外での開業を検討して開業地を探していました。福岡市西区小戸は、小戸公園という大きな総合公園があるなど、私自身も子どもを連れてよく遊びに来ていたことから、活気がある良い雰囲気の場所という印象を受けていたため、その周辺で駐車場も広く設けられる場所を探しました。
 ただ、郊外といってもやはり福岡市内なので、既存の整形外科診療所なども多く、そうした競合も少ないエリアといった条件も加味した結果、現在の場所に決定しました。候補地探しに関しては、準備当初からサポートしてもらっていた日医リースをはじめ、さまざまな方にご協力いただき、最終的に決まるまで約2年と、開業準備のなかでも一番大変だったところだと思います。

診療体制や設備でこだわった点はありますか?

 リハビリテーションの設備については、一般的な物理療法に必要な機材を取り揃えたことはもちろんですが、予防の観点では、中高年以上の皆さんに運動習慣をつけていただくことが非常に重要です。そのため、下肢の筋力訓練や体幹の維持などに資する、トレーニング系の運動機器やリハビリ機器を充実させています。
受診される患者さんの主訴の多くは腰痛や関節痛ですが、これには加齢による骨や関節の変形といった要因もある一方、日ごろの生活習慣も影響しています。痛みで受診されたのをきっかけに、少しでも生活習慣を見直し、こまめな運動を心がけてもらえるように働きかけるようにしています。
 また、スポーツ整形も掲げているため、こちらに関しても、けがからの復帰だけではなく、その後の再発などの予防やパフォーマンスの改善にまでつながるように、一人ひとりの競技や状態に合わせた治療が提供できるように努めています。
 スタッフは、理学療法士4人、看護師4人(うちパート1人)、受付3人の体制でスタートしました。採用にあたっては、もちろん理学療法士としての専門知識なども大切ですが、面接だけですべてを知るのは難しくもあったので、どの職種の人も一緒に働くうえで話しやすいか、患者さんにも丁寧に対応してもらえそうかといった人柄を意識していました。

患者・近隣住民からの反響はいかがですか?

 10月の開業前に内覧会を開催したのですが、こうした地域住民の方の声を直接聞くことも、勤務医時代にはなかなかできなかったことなので、とても参考になりました。

 また、実際に話を聞いていると、今まさに腰や関節などの痛みに悩んで少し遠くの整形外科に通っておられるような方もいて、「診療所ができるのを待っていました」と言っていただいたのはうれしかったです。

最も高額な設備は何ですか?

 レントゲンなどの画像診断装置の設備です。

現在の患者数はどのくらいですか?

 開業初日は25人ほどの患者さんが来られました。11月時点では1日当たり40~50人に受診いただいてます。

日医リースがお役に立てたことは何ですか?

 医療卸企業から紹介してもらった日医リースさんに開業準備の当初からいろいろとお手伝いをいただきました。私に限らず、最初は経営のことがよくわからないところからスタートする医師は少なくないと思いますが、資金計画の作成などをしていただき具体的なイメージを持つことができたのはとてもありがたかったです。

最後に、今後の展望は?

 患者さんに来ていただくうえで、広告などは最初のきっかけに過ぎず、そのうえで実際に受診された際に患者さんに満足していただける治療を提供し続けることが、一番の集患の方法ではないのかなと考えています。
 お子さんからそのご両親、さらに祖父母の方々まで、地域において家族ぐるみで来院していただけるような診療所になれるといいなと思っています。

Information

いぐち整形外科
〒819-0001 福岡市西区小戸1-16-26
WEB:https://igc-ortho.com/