なぜ医師になろうと思ったのですか?

 開業医をしていた父親を見て育ったこともあり、自然と自分も医師になろうと思うようになりました。また、眼科医を志望するようになった要因の1つには、緑内障を患っていた身内がいたこともあります。そのため、大学卒業後は付属病院などで緑内障の治療や研究に力を入れていました。
開業を具体的に考えるようになったのは、2021年春頃です。大学病院などの基幹病院では、白内障や緑内障の手術の症例数も増えて眼科専門医としての技量が上がる一方、一人の患者さんを長期間にわたって診続けるのは難しい面があります。こうした葛藤もあって、より身近な場所で患者さんに貢献したいと開業を考えるようになったのです。
もちろん、父親の診療所の承継も考えました。しかし、白内障や緑内障の日帰り手術を行うために必要な敷地面積を確保できなかったので、承継は断念し新規開業するという道を選択しました。

現在地を選ばれた理由は何ですか?

 東京の郊外エリアで探しました。白内障や緑内障の日帰り手術のニーズがあると考えたからです。
医局人事で地方の病院に勤務したことがあるのですが、その時に、白内障や緑内障の日帰り手術を受けられる医療機関が少ない地域があることを知りました。そこで東京都内から通勤でき、競合が少ない郊外エリアを探していきました。休みの日には実際にその土地に足を運んで雰囲気を確かめながら探していった結果、たどり着いたのが現在の場所でした。駅から徒歩1分で新築、皮膚科や形成外科、小児科、歯科が入っているクリニックモールで利便性が高く、集患がしやすそうだったことも決め手になりました。開業場所の選定には1年以上かかりました。

開業準備で苦労されたことはありますか?

 開業直前まで病院に勤務していたため、開業地の選定から、開業直前のシミュレーションまで怒涛の毎日でした。最初に開業を相談した人から日医リースさんを紹介してもらわなかったら、どうなっていたかと。開業候補地や内装、人材紹介会社、システムメーカーなどの選定を手伝ってもらいました。病院勤務と開業準備の両立はなかなか難しいため、やはり信頼できるパートナーの協力は不可欠かなと思います。
苦労したと言えば、院内の内装にも時間がかかりました。内装を任せる企業はすぐに決まったのですが、患者さんやスタッフのベストな動線を考えた待合室や受付、診察室、手術室、リカバリールームの配置などにこだわったこともあり、7~8回は打ち合わせを重ねました。落下傘型開業だったこともあり、人材採用は紹介会社と求人誌で行いました。看護師1人、視能訓練師1人、事務職2人、そして私の計5人態勢でスタートし、幸いなことに開業時のメンバーは全員今も働いてくれています。

どんな診療所を目指していますか?

 小さなお子さんからご高齢の方まで世代を問わず眼の悩みに寄り添う、かかりつけ医を目指しています。もちろん力を入れているのは、白内障および緑内障の日帰り手術です。最新の医療機器を導入し、安全で丁寧な手術を心がけています。
もちろん、手術だけにこだわっているわけではなく、点眼・レーザー・手術など患者さんの病態やニーズに合わせて最適な治療を提供しています。そのため、患者さん一人ひとりと時間をかけて向き合うことを大切にしています。

最も高額な設備は何ですか?

 ラジエンスウエア社の電子カルテが一番高額の投資です。手術用の顕微鏡や手術に使うマシンも高額でした。

開業初日の患者数はどのくらいでしたか?

 27、8人に来てもらいました。その後の1か月は1日20人いくかいかないかでしたが、当院の手術が評判を呼んだのか、現在は45人前後に来てもらっています。当初の予想より多い患者数です。術後の患者さんやSNSで当院を知ったという緑内障の方にも来てもらっています。

日医リースがお役に立てたことは何ですか?

 開業の場所選定から人材会社の紹介に至るまで、開業に関する全てのプロセスにおいて手厚い支援をいただきました。特に、迅速かつ親身な対応が印象的でした。開業直前まで勤務医を続けることができたのは、日医リースのサポートのおかげです。非常に心強い存在でした。

これから開業を考えている方へのアドバイスをお願いします

 1つは自分が目指す医療を追求することだと思います。私の場合は日帰り手術でしたが、多くの物件を見て回っているうちに、立地等の優先順位が上がってしまうなどブレそうになったこともありました。
もう1つは地元との関係づくりです。私の場合、全く縁のなかった場所での落下傘開業だったので、地域にどんな先生がいて、どんな診療をしているのかなどが分からない状況でした。そのため、現在、地元の医師会の活動やイベントに参画したりしながら地域に溶け込もうと努力しているところです。

Information

稲毛海岸やすだ眼科
住所:〒261-0004 千葉県千葉市美浜区高洲3-23-1 ペリエメディカルビル美浜2F-B
WEB:https://yasuda-eye.jp/