各種補助金を活用されたお取引先の声

　石川県七尾市にある社会福祉法人緑会は、「仁愛・信頼・貢献」を基本理念に掲げ、特別養護老人ホームとデイサービスが併設された介護老人福祉施設千寿苑をはじめ、老人保健施設、グループホームなど６事業を展開しています。母体組織のえんやまグループ（円山寛人理事長）では、円山病院、えんやま健康クリニックも運営しており、地域の医療・福祉を長年にわたって支えてきました。

　千寿苑は、同グループ内のリース物件を全面的に請け負っている日医リースからの提案をきっかけに、開設から14年後の2016年、北陸地方の福祉施設ではまだ数少ない、施設の〝オール電化〟に踏み切りました。

　事務長の岩本潤一さんは、「築10年を過ぎて、冷暖房の効きが悪くなり始め、屋上防水の耐用年数の期限切れも気になっていた頃、国土交通省の『既存建築物省エネ化推進事業』において、要件に合致した省エネ化改修を計画し、審査が通れば改修費の３分の１の補助が得られるという話を日医リースの担当者から聞きました。ちょうど良いタイミングだったので、検討することにしました」と語ります。

　同事業では、改修前と比較して20％以上の省エネ効果が見込まれることが要件となっており、千寿苑では、躯体断熱を行うことで省エネ化を図ることにしました。また、これと合わせて、従来、灯油を燃料としていた空調・給湯設備を〝オール電化〟にし、館内の照明も蛍光灯からＬＥＤに切り替えることにしました。

　「試算では、省エネ化によって減らせるコストでリース料が賄える計算になっており、新たなコストがかからずに済むということで、理事会でもご納得いただけました」と岩本さんは振り返ります。

　今回の事業では、空調設備の電化工事を行ったため、居室の冷暖房に支障が生じないよう、工期設定にも配慮を要しました。一般的に工期設定は、夏や冬は外し、冷暖房がなくても過ごしやすい春や秋にすることが望ましいと言われています。千寿苑のケースでも、工事が12月初旬には終わるように逆算してスケジュールを組み、補助金申請のタイミングを図りました。

　また、〝オール電化〟にすると光熱費が高くなるイメージがありますが、地元の北陸電力に相談し、適用できる割引を最大限活用するなど、コスト削減につながる知恵を絞り出しました。その結果、電気代をかなり抑えられましたが、岩本さんは「数字には表れないメリットもある」と指摘します。灯油燃料の場合、タンクの法定点検や冷暖房の定期的なメンテナンスなどが必要で、その都度職員が対応しなければならず、相応の負担がかかります。危険物取扱責任者も配置しなければなりません。また、近年は灯油価格が上昇傾向にあり、コストも電気とあまり変わらなくなってきています。

　「何より、冷暖房の切り替えがスイッチひとつでできるので、気温変動の大きい季節の変わり目でも、簡単に適温に設定できます。電化の最大のメリットは、ご利用者様や職員の快適性が向上したことでしょう。改修から4年経ちますが、コストも一定額に抑えられ、運用上のトラブルもなく、すべて順調です。そして、千寿苑の実績を踏まえて、グループ内の病院と診療所も同様の改修工事を行い、〝オール電化〟に切り替えました。」と語る岩本さん。

　補助金を活用し、施設の省エネ化と利用者・職員の利便性・快適性を実現させた事業の好事例と言えるでしょう。