あらゆるリスクに応える保険が登場

 昨今の異常気象による自然災害は、これまで経験したことのないような大きな被害をもたらしています。多くのクリニックでは、こうした災害への備えとして、また、設備や什器等の損害が発生した場合に対応できるよう、火災保険や損害保険などに入っていることと思います。

 さまざまな保険に加入すると安心を得られますが、一方で、契約の手続きや更新の煩雑さがあることや保険料が高くなってしまっていると言った声を聞きます。

 こうした声に応える保険として、「事業活動総合保険」という商品が登場してきています。事業活動総合保険は、事業を運営する上でおこりうるリスクを想定し「物損害」「休業損害」「賠償責任」のリスクを総合的に補償する保険になっています。

火災保険よりも幅広く物損を補償

 事業活動総合保険は火災保険の一種ですが、通常の火災保険の適用範囲にオプションを付けることで、さらに広い範囲をカバーしているところが特徴です(図1)。

 特に最近では、頻発するゲリラ豪雨等による水災への備えとして、補償額を選べるプランなどを揃えている商品もあります。

 また、不測かつ突発的な事故への補償を充実させている商品もあります。経鼻内視鏡や超音波診断装置などクリニックにはさまざまな精密機器があります。最近では小型化していることもあり、持ち運びも楽になってきています。職員がうっかり落として壊してしまった時など、迅速に修理等を行うことができると好評です。その他、事故の際の臨時費用や見舞金はもとより、災害等の復旧にあたり必要な仮店舗の賃借費用等に充てることのできる「修理付帯費用」や、建物から5メートル以内にある屋外所在の移動式看板の損害に対応できる「看板修理費用」などを基本補償に組み込んでいる商品が多くあります。

 基本補償に「地震火災費用」が組み込まれている商品がありますが、これは地震や噴火、またはこれに起因する津波により建物が半燃以上となった場合の臨時費用を補償するもので、地震保険とは異なります。地震保険については、通常単独で契約することはできないため、事業活動総合保険と併せて加入することで補償の範囲が広がります。自宅にクリニックを併設している場合などは効果的です。

事業継続の視点からリスクを回避

 落雷によるエレベータの停止や上の階からの水漏れなど、思わぬ事故により休業せざるをえなくなってしまった。そんな時に、売り上げの減少を補償するのが「休業損害」です(図2)。契約の際に、復旧にかかる期間や1日あたりの補償日額について、保険会社と取り決めし契約します。プランによっては、食中毒や特定感染症による事故にも対応できるものもあります。

 設備の管理不備等により患者に損害を与えた、それに対する費用が発生した場合に補償されるのが「損害賠償」です。損害賠償は、主に「施設賠償責任」「個人賠償責任」「被害者治療費等」がありますが、事業活動総合保険の場合は、基本が火災保険ということもあり、損害賠償をオプションとして販売しているケースが多くみられます。

 こうした基本的な損害賠償だけでなく、患者から預かった物を誤って壊してしまったり、失くしてしまったりした時の補償となる「受託物賠償責任補償」や事故により被害を負わせてしまった際、弁護士に諸手続きを委任した際の費用を補償する「弁護士費用等補償」、借りている店舗において火災などを起こした場合の、貸主に対する損害を補償する「借家人賠償責任補償」など、多様なニーズに応えることのできるオプションを組み合わせて契約することができます。

見直しの際のポイント

 事業活動総合保険はさまざまな補償が複雑に組み合わさっていることもあり、類似する補償が重複してしまうこともあります。賠償責任保険などは、既に加入している他の保険と重複していることも多いので、保険料が無駄にならないよう、しっかりと確認していく必要があります。

 見直しの際には、保険料の比較はもとより、クリニックが置かれている状況や診療の特性、お客様の様子などの分析と、所有する資産や財物の状況などを把握し、現在契約している保険でカバーできるかをチェックしていきます。その結果、現在の保険ではカバーしきれない部分を総合的に補える商品を選んでいくことが大切です。

※ 本稿は事業活動総合保険の概要を示したもので、実際の保健内容はオプションの種類や適用範囲が異なりますので、必ず保険会社にご確認ください。