採用活動は“ブランディング”から

 「ブランディング」とは、一言でいうと“院について、地域に住む方々やスタッフの募集対象となる候補者にイメージをもってもらう”ことです。

 口コミサイトやSNS全盛の現在に、ただ地域に存在するだけ、治療をするだけでは、選ばれる院とはなりにくい、難しい時代です。院は地域にどのような役割を果たそうとしているのか(理念)、院長はどんな考えをもっているのか(方針)、これから院をどうしていきたいのか(方向性)、どのような特長をもっているのか(差別化)、といった具体的なイメージをもってもらうことは、採用において相手に“この院で働いてみようかな”と思わせることに繋がります。これらの内容を一度整理し、発信することが採用の重要な第一歩であり、近道と言えます。

成功の鍵となるのは、地域とスタッフの「声」

 ブランディングには、院外向けの「アウター」ブランディングと院内向けの「インターナル」ブランディングの2種類があり、お互い表裏一体の関係にあります。

 ブランディングを成功させるためには、対象である地域やスタッフの双方が、“院に何を求めているか”を知ることが鍵となります。院内外の声に耳を傾けながら、院の提供できる価値を発信し続けることがブランディングに必要です。その際、いきなり院外ではなく、まずは身近なスタッフに理解してもらうことから始めてはいかがでしょうか。

必要不可欠な“マーケティング”

 院の提供価値やビジョンといったブランドイメージが確定したら、そのイメージを知ってもらうために発信(アピール)の仕方を考えることが大切です。アピール方法を計画し、対象者に伝える活動こそがマーケティングに相当します。

 近年、採用市場では「採用マーケティング(Recruitment Marketing)」というキーワードが話題になっています。マーケティング的な発想や手法は、募集・求人活動そのものであると言ってもよく、戦略的な採用を行うには欠かせないものとなっています。院のイメージができ上がっているかいないか、ブランディングができているかいないかは、これから行おうとしている採用活動の成否に大きく影響してきます。

採用戦略のステップ(概要)

 表で示した通り、基本的にはブランディングやマーケティングと同じ考え・手続きで採用戦略を進めていきます。

 

ステップ          

 

 

内容(手続き)

 

 

 1.要員計画

 

いつまでに、どのような人を、何人欲しいのか、予算額や提示できる条件等について計画を立てることから始めます。

 

 2.要件定義

 

どのような人材が欲しいのか、具体的なスキルや志向についてMUST(必須要件)とWANT(歓迎要件)に分け、ターゲットを明確化します。

 

 3.差別化

 

ターゲットにとって院の魅力は何かを分析し、把握します。その際、近隣の院との相違や強みだけではなく弱みも併せて分析します。

 

 4.内容検討

 

分析した内容を募集に落とし込んでいきます。伝えるべきことやアピールしたいことについて優先順位をつけながら、内容を固めていきます。

 

 5.方法の検討

 

絞られたターゲットや募集要項に沿って、効果的な募集方法を検討します。考え得る限り多くの募集方法を検討し、決定します。

 

 6.募集スタート

 

募集開始後も結果や反応を見ながら、PDCAを繰り返していきます。

 “採用は水物”とは言うものの、欲しい人材を採用するためには、相応の努力、計画性(戦略)が必要になります。次号より採用戦略の各ステップの詳細をご紹介していきます。