訪問看護と訪問看護ステーションの違い

 介護保険の事業には、訪問看護と訪問看護ステーションの2種類があります。訪問看護は、健康保険法の保険医療機関である病院や診療所が「みなし指定」としてサービス提供を行う場合の事業名称です。一方、訪問看護ステーションは、法人格に関わらず事業所指定を受けサービスを提供する場合です。従って、医療機関がサービスを開始する場合は、双方のメリット・デメリットを考慮してどちらかを選ぶことができます。大きく次の3点が異なります。

 まず、収入面は、表に示す通り、訪問看護より訪問看護ステーションの方が、高く設定されています。

 

 介護報酬 単位    訪問看護   訪問看護ステーション
 20分未満 262 310
 30分未満 392 463
 30分以上1時間未満 567 814
 1時間以上1.5時間未満  835 1,117

 

 

 

 

 

 次に人員配置基準が異なります。訪問看護の場合は、看護職員の配置は、適当数であり、訪問看護計画書を作成する正看護師が1名いれば、診療補助の空き時間に行うことができます。一方、訪問看護ステーションの場合は、常勤換算職員数で最低2.5人以上の保健師、正看護師または准看護師が必要となります。

 また、リハビリテーションを訪問看護事業の一部として行う場合は、訪問看護ステーションのみが実施することが可能です。

事業所数の動向

 地域包括ケアシステムにおいて、在宅支援を見守る看護の必要性が求められています。現在、2種の事業を合わせて約1万事業所があり、前年度より6.6%増加しています。そのうち、83.5%が訪問看護ステーションとなり、病院や診療所のみなし指定の訪問看護の割合が年々減少しています。民間の訪問看護ステーションとの競合関係から取りやめる場合もありますが、多くは介護報酬の単位の違いからみなし指定の訪問看護から独立した訪問看護ステーションに移行しているケースが多いようです。

訪問看護ステーションの事業範囲

 訪問看護ステーションは、みなし指定と同様、介護保険だけでなく、医療保険を適用することが可能です。がん末期の患者や神経難病など、厚生労働大臣が定める疾病などの場合は医療保険となります。その他、産褥期や乳児期の支援、障害児の健康管理、認知症対応から看取りまで年齢層は幅広く、対応も多岐にわたります。そのため、どの層を対象とするかは、看護職員の経験等により異なってきます。また、保険対応だけでなく、エンゼルケアや外出介助など自費サービスと組み合わせて行うことで、事業範囲を拡大することが可能です。事業を行うにあたり、現場を担う看護職員と十分話し合いを行い、対象や支援内容などを決め、特徴を明確にして営業することが利用者確保のポイントと言えます。