介護療養病床の廃止と介護医療院の創設

  

 介護保険事業のうち、病院や有床診療所による介護療養型医療施設(介護療養病床)は、2017年度末をもって廃止となります。その後、6年の移行期間をもって事業転換が求められます。転換先の一つとして新たな施設類型「介護医療院」が創設されます。

 介護療養病床の移行では、現在、医療機能内包型の「介護医療院」(介護療養病床相当と老人保健施設相当以上の2種)と医療外付け型(居住スペースは、特定施設入居者生活介護相当)の2パターンが想定されています。「介護医療院」は、“日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ”や“看取り・ターミナルケア”機能が求められており、生活の場としての機能を備えた介護保険施設という位置づけとなります。病院や診療所から外れて介護施設となりますが、引き続き転換前の名称を使用することができます。

 具体的な介護報酬や基準、移行支援策は、今後介護給付費分科会等で検討が進められる予定です。介護保険施設となることから、家賃や食費の設定も変わることが想定され、今後の審議が注目されます。

 医療外付け型は、医療機関を併設している現在のサービス付き高齢者向け住宅と限りなく近い事業形態と考えられるため、ここでは同サービスの内容と近年の傾向をあらためて解説します。

サービス付き高齢者向け住宅の類型

 サービス付き高齢者向け住宅は、2017年4月末時点で約22万床が整備され、特定施設入居者生活介護と同程度まで拡大・浸透してきました。その反面、医療・介護とも外付けで行う事業形態のため、実際に受けられるサービスは千差万別です。

 医療的処置が必要な場合は、医師の往診や訪問看護サービスを活用し、日常の状態を観察する介護職員と連携しながら支援を行います。多くの場合、夜間は介護職員のみで対応し、看護職員はオンコール体制で対応しています。医療的支援に係る部分は、介護保険の場合は居宅療養管理指導、診療報酬の場合は施設入居時等医学総合管理料(施設総管)を、それぞれの要件を満たすことで算定することができます。

 また、訪問看護サービスについては、最近では介護と看護を一体的に提供する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」により、サービスを提供する場合もあります。

 サービス付き高齢者向け住宅の利用者に対しても、介護保険の場合は、ケアマネジャーが作成するケアプランをもとに日常の支援を行います。入浴介助、排せつ介助、食事介助などの業務は介護職員が実施し、看護職員は利用者のバイタル測定などを中心に医師との連携役を担います。

 近年の傾向では、自立支援の原則に基づき、家族や利用者自身ができる部分はできるだけやっていただく、という「役割分担」のもと、運営している施設もあります。

 こうした特徴を踏まえ、今後どのように事業転換を図っていくか、具体的な検討が必要となってきます。